ここでは、①地域発生未利用農林水産資源の適正管理と環境保全、②環境に配慮した消費者・生産者の行動変容、③グリーンジョブの担い手となる高度専門人材育成・ジョブマーケットの醸成の3つをターゲットとして、美食地政学に基づくグリーンジョブマーケットの創出を行います。

Target1

地域発生未利用農林水産資源の適正管理と環境保全

未利用農林水産資源の発生要因としては、以下の3つの要因が考えられます。

–[1] 消費側の需要が少ないことにより発生する供給余剰

–[2] 気候変動や海流変化などの自然環境変化による、生態系の急激な変化

–[3] 環境保全のために駆除・間伐などで供給されるが、消費技術が未発達ゆえの生産廃棄によるロス

1は規格外品や流通時の傷などに対する消費者の忌避感の他、コロナ等の感染症流行、不況、風評などにより消費側の急激な需要減少により、需給ギャップが発生することによるものがあげられます。加工・保存の技術が未熟であったり、消費者行動の変容を促すための機会が不足していることが食ロス発生の要因になりうるのです。

2は気候変動や海流変化などにより生態系の急激な変化により、特定種が異常発生したり、食害被害を回避するための駆除などにより発生する農水産物です。これらの発生には、消費文化の未成熟が要因(調理技術の発達、食文化の醸成、地域産物のブランディング)、流通のための市場が未成熟(市場流通困難魚“雑魚”、規格外農作物等)、最終的な受け皿となる産業が未成熟 (循環資源利活用の場の不足、有用成分の抽出・利活用技術の不足)などが原因です。

3は、間伐、駆除、加工段階で発生する副産物等を介して、環境保全のために供給されますが、消費技術が未発達であることにより食ロスを引き起こしているものです。消費技術として、(a) 生鮮消費、(b)加工・保存食としての消費、(c)コスメやサプリメント原料としての有用成分消費、(d)肥料としての栄養塩消費などが挙げられます。農林水産業の生産地(a)~(d)の消費技術の改善により食ロス削減に貢献できるものと期待されます。

Target 2

環境に配慮した消費者・生産者の行動変容

生産者と消費者の間の情報の分断は、環境親和型の生産活動を行っている農林水産業者の生産物を必ずしも選択せずに、安価で環境負荷の大きい製品選択につながりがちです。生産者と消費者の双方向のつながりを密にする場を生み出すことで、生産地の環境情報の分断を防ぎ、消費者の行動変容を促します。環境親和型生産者の製品選択を行う消費者の増加は、生産者の行動変容への好循環を引き起こすことが期待されます。気候変動の激化・海流変化などの要因で生態系そのものが激変するなかで、食文化そのものの適用も求められています。美食地政学に基づいた食に関わるサプライチェーンを実現することで、食サービス・観光業などの気候変動への適応も実現することが期待されます。

Target 3

グリーンジョブの担い手となる高度専門人材育成・ジョブマーケットの醸成

食料生産の多くは地方が担いますが、次世代労働力となる大学生・高校生が将来、就職を希望する職種、産業が無く、多くが都市圏に流出しています。地域に登記する事業の減少は法人に係る税収の縮小につながり、地域環境を保全するための費用を自治体が負担できなくなるなどの悪循環が生じてしまいます。地方経済においては、食を支える地域環境を持続的に管理・保全する職を、広くグリーンジョブとしてサプライチェーン全体で維持することで、地域における就業機会の維持と、食に関わるサプライチェーンの環境管理・保全を両立することが求められています。