「サステナブルな食の世界地図」第4回・「おいしい未来のつくりかた」4皿目を同時開催しました
2026年7月17日(金)、東北大学大学院環境科学研究科「SHOKU Lab.」にて、美食地政学講座「サステナブルな食の世界地図」第4回と、現地参加型講座「おいしい未来のつくりかた 4皿目」を開催しました。
今回のテーマは、オーストラリア・シドニーです。現地のレストランやバーにおけるサステナブルな取り組み、オージー・ラムを取り巻く最新の動向について学ぶとともに、ラム肉と宮城県産食材を組み合わせた料理を試食しました。
はじめに、宮城大学の丹治朋子先生より、2010年にシドニー・Bronteの小さなカフェから始まったレストラン「Three Blue Ducks」の取り組みが紹介されました。
Three Blue Ducksが重視しているのは、放し飼いの卵や豚肉、グラスフェッドの肉、無農薬またはオーガニックの野菜など、生産者や生産方法が分かる食材です。Byron Bayの店舗では、農場内の小規模生産者と連携し、農家が季節や天候に応じて収穫できる食材を伝え、それに合わせてシェフがメニューを組み立てています。
野菜の葉や魚介類の端材などを別の料理や調味料に活用する「Whole animal/Whole vegetable」の考え方も特徴の一つです。食品残渣やコーヒーかすのコンポスト化、再利用できる納品容器や飲料のタップ提供など、店舗運営全体を通じて廃棄物を減らす工夫が取り入れられています。
さらに、「Three Blue Ducks」では環境への配慮だけでなく、小規模生産者との継続的な取引やスタッフの労働環境、食材と生産者について学ぶためのスタッフ教育も重視しています。レストラン運営全体をサステナブルな方向へ組み替えていく実践です。

続いて、新潟食料農業大学の高力美由紀先生より、シドニーの「Smoke Bar」をはじめとするサステナブルなバーの事例が紹介されました。
Smoke Barでは、「フレーバー・コスト・環境」の3つの視点から食材をできる限り使い切っています。マンゴーの果肉をシロップに、種をナッツのような風味を持つテキーラに、皮をウォッカの香りづけに活用するなど、通常は捨てられる部分から新しい味を生み出しています。
また、リキュールを自家製することで、外部から仕入れる際に発生する容器や配送を削減。キッチンと連携し、副産物を料理やカクテルへ再利用する工夫も行われています。サステナビリティを特別な宣伝材料にするのではなく、おいしさとコストを追求した結果として環境負荷の軽減につなげている点が特徴として挙げられました。
後半には、ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア(MLA)の三橋一法氏より、日本の羊肉市場やオーストラリアの畜産業についてお話しいただきました。
日本における羊肉の年間消費量や市場の現状、オーストラリアの羊毛産業から食肉産業への変化に加え、動物福祉、トレーサビリティ、衛生管理、環境への配慮など、持続可能な畜産に向けた取り組みが紹介されました。
講演後には、ラムバサダーの田中小矢佳氏と菊池祐太氏による調理実演と試食を行いました。

田中氏による一皿は、塩麹とレモンで味付けした「瀬戸内レモンラム」と宮城県産パプリカの組み合わせ。菊池氏は、マトンと宮城県名取市産のセリを羊の脂と塩で仕上げたジンギスカンを披露しました。ジンギスカンは、宮城県産米「一寸法師」とともに味わいました。



参加者からは、 「ラム肉を食べる機会は少ないが、これほどおいしいなら、もっと日常的に食べたい」 「ジンギスカンやラム肉の魅力を体験できる場が、身近に増えてほしい」 といった感想が寄せられました。
講座の詳しい内容は、学生による開催レポートをnoteで公開しています。ぜひあわせてご覧ください。
■ 美食地政学 サステナブルな食の世界地図 note
https://note.com/ggmyu/n/n12c2ae95146e
本講座では今後も、国内外の事例を通して、「環境・おいしさ・ビジネス」が共存する食のあり方を探っていきます。

