研究開発課題

農林水産資源の適切な管理と
環境保全

近年、人間活動に起因した環境負荷が世界規模で増大する中、これらのインパクトが最も集中する沿岸生態系の応答や、生み出される生態系サービス(食料供給、景観・観光、水質浄化機能等)への影響が危惧される。日本沿岸においては温暖化や海流流路の変化などの影響により、漁獲種組成の変容、水産資源量の低迷、磯焼けによる沿岸環境の劣化、貧栄養化による基礎生産性の低下、養殖生物の大量斃死など、水産資源の持続可能性に関わる様々な問題が顕在化している。多様なステークホルダーが依存する沿岸域において、生態学や社会学を含めた多角的な視点から、複合的な環境・人為要因が水産資源にもたらす影響について、知の集積・事業者との共創知の形成が求められる。

研究開発課題リーダー 

課題1:藤井豊展 Toyonobu Fujii:リーダー

藤井 豊展

Toyonobu FUJII

研究開発課題リーダー
東北大学 大学院農学研究科 准教授

1972年島根県生まれ。博士(環境管理)。2002年イーストアングリア大学(英国)生物科学部生態学科卒業、2006年ヨーク大学(英国)環境学部環境科学修了。2007年アバディーン大学(英国)生物科学部PD研究員、2009年同大学同学部BPフェロー研究員、 2017年東北大学大学院農学研究科特任助教、2018年同大学同研究科准教授を経て現在に至る。 専門分野は海洋生態学で、これまでの研究では、干潟・河口・沿岸域から超深海(6000m以深)に至る様々な海洋生態系の観測を行い、地球温暖化や人間活動の圧力等が、生物群集の構造や地理的分布にどのような影響を与えるのかについて、様々な時間・空間的スケールに渡り考察して参りました。とりわけ沿岸生態系の変動メカニズムを把握するためには、水温・塩分などの基本的な環境データに加え、海と社会のインターフェイスである「社会・生態システム」を構成する多元的な生物・物理・社会経済データを考慮する必要があります。現在宮城県と三重県で実施している沿岸環境モニタリングを通して得られる幅広いデータを統合的に解析することにより、将来予想される様々な環境変動に対して起こりうる沿岸生態系の応答を予測し、地域の実情に即した高精度現況予測モデルを構築し、持続可能な沿岸環境管理手法の確立に貢献して参ります。

メンバー

尾定 誠

Makoto OSADA

研究開発人材育成リーダー
東北大学 大学院農学研究科 名誉教授 
東北大学 大学院環境科学研究科 学術研究員

1957年富山県生まれ。博士(農学)。1980年東北大学農学部卒業、1982年東北大学大学院農学研究科博士課程前期修了。1985年東北大学農学部助手、1997年東北大学農学部助教授、2008年東北大学大学院農学研究科教授を経て現在に至る。この間、ベッドフォード海洋研究所(1993−1994年)、ボストン大学生物学科(2004年)において客員研究員として共同研究。著書には、『Physiology of Molluscs』分担(2017)、『カキ・ホタテガイの科学』編著(2019)、『Reproduction in Aquatic Animals』分担(2020)などがある。海洋環境と水産資源管理に関する課題では、科学的知見の集積のための水産関係の試験研究機関との連携、及び地域社会への科学的知見の還元と資源管理・活用の実装を支援する。専門は水産増殖学、生殖内分泌学。

米澤 千夏

Chinatsu YONEZAWA

東北大学 大学院農学研究科 准教授

(一財)リモート・センシング技術センター、宮城大学食産業学部を経て現職。博士(理学)。人工衛星、航空機、ドローン等によって地表面を観測したリモートセンシング画像の利用研究に従事している。東日本大震災による農地、草地、沿岸域の被害状況の把握やその復興過程のモニタリング、農村における屋敷林などの地域資源管理に関する研究等をおこなっている。農林水産業や環境に関係する多くのプロジェクト研究に、広域を観測した画像の解析技術をもって参画している。 本課題では、リモートセンシングによる沿岸域および陸域の環境および資源管理に関連する研究に携わる。ドローンによって撮影された画像のほか、日本の「だいち」シリーズを含めた様々な地球観測衛星によって観測された画像の、持続可能な養殖漁業と農林水産業に資するための研究をすすめる。美食地政学を発展させるために、得られた情報を地域で利用できるようにするための地理空間情報技術の利活用にも関わる。

片山 知史

Satoshi KATAYAMA

東北大学 大学院農学研究科 教授

東北大学農学部助手、中央水産研究所浅海増殖部を経て、2011年4月より現職。博士(農学)。沿岸資源について資源が変動するメカニズムの解明と資源管理理論の構築に取り組んでいます。特に耳石を用いた年齢査定、移動回遊パターン、成熟産卵様式を行い、各魚種の資源生態を明らかにしています。本課題では、三重県の定置網漁業の漁獲統計を用いて、魚種毎に変動パターンを解析しています。多様な沿岸資源の中でも特に増加傾向にある魚種や低利用魚をピックアップして、それらの有効利用を提案します。近年の発行著書は以下のとおりです。「地球温暖化とさかな」(分担執筆)、「魚と放射能汚染」(単著)、「漁業科学とレジームシフト」(編著)、「耳石が語る魚の生い立ち 雄弁な小骨の生態学」(単著)、「沿岸資源調査法」(分担執筆)、「東日本大震災から10年 海洋生態系・漁業・漁村」(編著)

村上 弘章

Hiroaki MURAKAMI

東北大学 大学院農学研究科 助教

2019年 京都大学大学院 農学研究科 博士後期課程修了・博士 (農学)、同年 京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所・博士研究員、2020年 京都大学 学際融合教育研究推進センター 森里海連環学教育研究ユニット RE:CONNECT・特定研究員を経て現在に至る。環境中に放出された生物由来のDNAである『環境DNA』を検出することで、河川や沿岸域における魚類の生態や分布推定を行っています。本プロジェクトでは、宮城県と三重県をフィールドとして、環境DNAを用いた魚類多様性評価と資源量推定を試みることで、当海域の生態保全と持続可能な漁業の実現に貢献したいと考えています。

鈴木 はるか

Haruka SUZUKI

東北大学 大学院農学研究科 助教

宮城県東松島市出身。博士(農学)。東北大学大学院農学研究科修了、国立環境研究所を経て2021年9月より現職。動くことができない海藻にとって、移動の手段は主に胞子分散と藻体の流出になりますが、それ自体を海中で追跡するのは難しいです。遺伝的なつながりを調べることで、目には見えない藻場間の交流を明らかにし、藻場の形成機構の解明や藻場再生への応用を目指しています。

青木 優和

Masakazu AOKI

東北大学 大学院農学研究科 教授

沿岸岩礁域では、コンブ類やホンダワラ類といった大型褐藻が「海中林」や「藻場」とよばれる群落を形成します。海中林は光合成による物質生産力が高いだけでなく、水産有用種を含む魚介類の生息・産卵・稚仔育成の場としても生物多様性の観点からも重要です。私たちは藻場生態系において、海藻とウニ類や巻貝類などの植食動物とがどのように関わり合っているのかについて、生態学と水産学をベースとして研究を行っています。

杉本 周作

Shusaku SUGIMOTO

東北大学 大学院理学研究科 准教授

東北大学理学部助教、東北大学学際科学フロンティア研究所状況を経て2019年4月より現職。博士(理学)。西部北太平洋を対象に、黒潮などの海流や、直径300km程度の海洋暖水渦の季節から10年規模の時空間変動特性を調べ、これらが上空大気や地球規模の気象・気候に及ぼす影響について研究をしています。本課題では、2017年夏から継続している黒潮大蛇行や、2023年から常態化している黒潮続流の北偏などの海流異常を軸に、外洋と沿岸をつなぐ物理過程の示唆を得ることを目指しています。著書には「天気と海の関係についてわかっていることいないこと」(分担執筆)、「百科繚覧 ~若手研究者が挑む学際フロンティア~ vol.2」(分担執筆)などがあります。

長澤 一衛

Kazue NAGASAWA

東北大学 大学院農学研究科 准教授

東京都生まれ。博士(海洋科学)。専門は二枚貝の生殖工学と遺伝子解析。2009年に東京海洋大学大学院で学位取得後、Nord University(ノルウェー)、東北マリンサイエンス拠点形成事業を経て現職に至る。これまでの研究経歴では、魚類や二枚貝類の生殖細胞に関する基礎生理学分野の研究に従事し、個体を生み出す配偶子の源の細胞である未分化生殖細胞の研究に魅力を感じている。特に近年は、ホタテガイやマガキ等の水産増養殖分野で産業利用される二枚貝における生殖幹細胞の維持機構や性分化機構を研究している。研究のアプローチとして、遺伝子導入や遺伝子の発現解析を得意としており、現在は細胞移植や細胞培養に取り組んでいる。これらの基礎的な知見を基にした応用技術により、養殖生物を高効率かつ持続的に生産する技術論の開発を目指す。

岡辺 拓巳

Takumi OKABE

研究開発責任者
三重大学 大学院生物資源学研究科 准教授

1977年高知県生まれ。博士(工学)。三重大学大学院生物資源学研究科附属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター准教授.専門は水産応用情報学、海岸工学、沿岸域環境学。主に沿岸域の環境と情報通信技術を繋げるアプローチで計測する手法や、市民科学的な方法によるビッグデータを得意としている。浅海域を日々操業するシラス漁船から得られる様々なデータを利用して海底地形の広域・高頻度モニタリング手法を構築し、漁業と情報,土木分野を横断的に結びつけた沿岸域の土砂動態研究を推進してきた。 現在はスマート水産業や沿岸域の環境計測に従事している。2003年に豊橋技術科学大学工学研究科修士課程建設工学専攻を修了後、民間の情報系企業を経て2012年に博士号を取得。同年より豊橋技術科学大学大学院助教。2020年より現職。

松田 浩一

Hirokazu MATSUDA

三重大学 大学院生物資源学研究科 教授

1963年大阪府生まれ。博士(農学)。専門は水産生物学,水産増殖学。1986年京都大学農学部水産学科卒業。同年三重県水産技術センター研究員。2017年三重県水産研究所総括研究員。2020年三重大学大学院生物資源学研究科紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター水産実験所、現在に至る。沿岸漁業の持続化を支援するため、岩礁域に生息するイセエビやアワビ、ナマコ等の重要水産生物の生態や飼育、漁獲動向等の研究に従事。イセエビの初期生活史の研究や幼生期の飼育研究に長く従事し、その成果によって日本水産学会賞技術賞を受賞(2005年度)。近年は、黒潮の大蛇行による沿岸水温の高温化が水産生物に及ぼす影響の調査に力を入れている。「美食地政学」の課題では、三重県の沿岸における環境の変化に適応し、将来に渡って持続可能な漁業生産の姿を追求する研究開発を行うとともに、その成果を活用し地域の関係者と連携した取り組みを進めていきたいと思っています。

古丸 明

Akira KOMARU

三重大学 大学院生物資源学研究科 教授

広島大学水畜産学科を昭和56年に卒業し、昭和56年から水産庁養殖研究所遺伝育種部で研究を開始。三重大学生物資源学部には、平成9年から勤務、現在に至る。博士(農学)。その間一貫して二枚貝の遺伝育種や繁殖様式に関する研究、効率的な養殖に関する研究に従事してきました。海水中の栄養塩が乏しくなり、さらに水温が上がっていく状況の中で、二枚貝類の死亡率の上昇、成長度の低下等の難題にどう対応するのか、養殖をどのように継続していくのか、というのが目の前の課題です。著書としては、「真珠研究の最前線」「ミトコンドリアDNAによるシジミの種判別」いずれも分担執筆。

江崎 修央

Nobuo EZAKI

研究開発責任者
鳥羽商船高等専門学校 情報機械システム工学 教授

1971年三重県生まれ。博士(工学)。1994年豊橋技術科学大学 知識情報工学部卒業、1996年豊橋技術科学大学大学院 知識情報工学専攻修了。1996年オークマ株式会社勤務、1998年鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科 助手、2003年豊橋技術科学大学大学院 博士後期課程 電子情報工学専攻 修了、2003年オランダ王国 グローニンゲン大学 客員研究員、2004年鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科 講師、2007年 同准教授、2015年 同教授、2019年鳥羽商船高等専門学校 情報機械システム工学科 教授を経て現在に至る。IoT海洋観測機を用いたモニタリングとAIを用いた水産業支援システムの研究に従事。専門はパタン認識、画像処理、機械学習、情報ネットワーク。

研究サポートスタッフ 

志摩サテライト

課題1 研究サポート_宇田ちぐさ

宇田 ちぐさ

Chigusa UDA

助手

6つの研究開発課題

研究開発課題1
研究開発課題1

研究開発課題2
研究開発課題2

研究開発課題3
研究開発課題3

研究開発課題4
研究開発課題4

研究開発課題5
研究開発課題5

研究開発課題6
研究開発課題6