研究開発課題4
美食地政学に基づく
ビジネス・サプライチェーン
食資源を取り巻く様々な環境問題の解決と、地域の食に関する産業を維持するには、自然環境に適応した食資源の供給を受け入れる、新たなビジネス・サプライチェーンを構築することが重要である。課題1、2で創出した環境保全につながる知をもとに、課題3で構築する新たな認証制度を適用した、持続可能な食のビジネス・サプライチェーンを実現するためのモデルを構築する。具体的には、市場で流通しにくい未利用・低利用食資源の利活用の場の創出・拡大を目指して、ビジネス・サプライチェーンを構築し、社会実装を目指す。
研究開発課題リーダー
Tomoko TANJI
研究開発課題リーダー ・研究開発責任者
宮城大学 食産業学群フードマネジメント学類 准教授
1970年東京都生まれ。立教大学社会学部観光学科卒業。同大学大学院博士課程前期課程にて修士(社会学)を取得。同大学院観光学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。2001年大阪明浄大学観光学部専任講師、2005年川村学園女子大学観光文化学科専任講師、准教授、教授を経て2022年4月より現職。立教大学観光学部兼任講師等を兼務。これまで日本観光ホスピタリティ教育学会理事、日本観光研究学会理事等を務め、現在は日本フードサービス学会監事。専門はフードサービス論、ホスピタリティ・マネジメント。
1990年代よりフードサービス及び宿泊産業における環境経営に関する研究を取り組んできました。近年では、観光地の災害復興において経済的な復興のエンジンとなる「食」に関する研究や、観光およびフードサービスにおける産官学連携の実践及び研究にも取り組んでおります。本プロジェクトでは、志摩市、東松島市を対象に、地域内で生産された食資源を生産から加工、流通、そしてフードサービスや宿泊施設といったサービス事業者が消費者に提供するまでの一連のサプライチェーンを、美食、環境の視点を加えながら構築します。
メンバー
Profile▶︎
1975年東京都生まれ。東京農業大学農学部卒業,同大学大学院農学研究科博士後期課程修了(博士(農学))。東京農業大学、千葉大学、農研機構食品研究部門、徳島県立農林水産総合技術支援センターを経て、2022年4月より宮城大学食産業学群フードマネジメント学類 准教授。園芸学会編集委員、日本包装学会理事、同編集委員も務める。専門は食品保蔵学、農産物流通学。
近年は,青果物の海上輸出を実現するための中長期品質保持・流通技術の確立や高温キュアリング処理による青果物の品質保持・輸送性向上技術、機能性・緩衝包装を活用した青果物の貯蔵性・輸送性向上技術、青果物の効率的・低コスト輸送システムの確立の研究に取り組む。
2022年、「輸出を視野に入れた輸送・貯蔵環境制御による青果物の品質保持」に関する研究で、日本食品保蔵科学会奨励賞を受賞。本プロジェクトでは、食品の保蔵・中長期貯蔵・輸送性向上に関する研究を通じ、志摩市、東松島市を対象に、高品質の地域資源を消費者に届けるための技術開発のほか、SDGsやSociety5.0の目標の一つでもあるポストハーベストロスの低減を目指します。
Profile▶︎
1983年、神奈川県生まれ。日本大学生物資源科学部卒業、日本大学大学院生物資源科学研究科で修士、2017年に日本大学大学院生物資源科学研究科で博士(生物資源科学)取得。
2017年国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業研究センター研究員(任期付)、日本大学生物資源科学部 研究員、一般財団法人都市農地活用支援センター研究員を経て、現在は宮城大学食産業学群で講師を務める。専門は、食品流通論、アグリビジネス。
近年、社会・経済情勢の悪化に伴う食料・農業・農村への様々な影響、農業者の高齢化・担い手減少の問題、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う食品産業を取り巻く環境変化、消費者の食に対する関心の変化といった、様々な課題に直面しています。今後、さらに食料・農業基盤の弱体化が懸念される中で、食と農の持続可能性を考えていくことはとても重要です。そのためには、限られた食資源を有効に活用するとともに、生産から消費までの一体化したビジネスモデルの構築が重要です。本プロジェクトでは、東松島市、志摩市などを対象に、地域内の未利用食資源や環境に配慮した地場食材を活用した新たなビジネス・サプライチェーンの構築を目指して取り組みます。
Profile▶︎
1961年福岡県生まれ。広島大学総合科学部卒、同大学大学院地域研究研究科にて修士(国際学)取得。フードシステム総合研究所、セゾン総合研究所を経て、西洋フード・コンパスグループ(株)(現コンパスグループ・ジャパン(株))の経営企画室、広報室、HR(ヒューマンリソース)にて勤務後、2008年4月より宮城大学/事業構想学部(現事業構想学群)にてマーケティング科目等を担当、2018年4月より新潟食料農業大学/食料産業学部/食料産業学科教授、ならびに2022年4月より同大学大学院/食料産業学研究科/食料産業学専攻教授、現在に至る。専門はフードビジネス、食品流通、マーケティング。
長らく外食産業や中食産業に関する研究ならびに、実務では業態や店舗、商品開発等に一部携わる等の経験を重ねて参りましたが、ここ10年ほどは、とくに「地域」と「食」に関する研究に取り組み、東日本大震災後の企業における復興支援などにも微力ながら携わりました。本プロジェクトでは、志摩市、東松島市を対象に、既存あるいは新たな食資源を掘り起こし、加工・流通における付加価値創造の道筋を見出し、人間や社会における「美食」の意義や役割を提供できるサプライチェーンの構築に携わっていきたいと考えています。
Profile▶︎
阿部 希望
Nozomi ABE
- 宮城大学食産業学群フードマネジメント学類 助教
1984年、栃木県生まれ。筑波大学第二学群生物資源学類卒業、筑波大学大学院生命環境科学研究科博士課程修了。博士(農学)を取得。日本学術振興会特別研究員PD、学習院大学史料館臨時職員、国立公文書館つくば分館非常勤職員、立教大学経済学部助教を経て、2021年4月より現職。日本農業史学会理事、伝統作物種苗保全ネットワーク幹事を務める。
専門は農業史、食文化史。歴史・文化の視点から、「食と農」の地域史や「生産と消費」の関係史を明らかにすることを目的としたフィールドワークを重ねている。主な著書・共著書に『伝統野菜をつくった人々-種子屋の近代史-』(農文協、農業史学会学会賞を受賞)や『食と農の人文学』(ミネルヴァ書房)がある。
持続可能な社会をいかにして実現し得るのかを考えることは喫緊の課題ですが、歴史的に見ると、日本にはもともと地域資源を最大限に活用して循環させる知恵や技術がたくさんあります。本プロジェクトでは、志摩市・東松島市を対象に、“食と農の循環を支えてきた知恵や技術”と“科学によって有効性や妥当性が実証された知識や技術”を組み合わせた「持続可能な食のビジネス・サプライチェーン」の構築と社会実装を目指します。