美食地政学という、新しい概念
美味しく調理する時、旨味を生み出すのに知識が必要です。食材を利用するには、その生態系の知識が必要になります。食材を楽しむ時には、文化や歴史に対する知識が必要になります。食材を生み出すための環境保全には政治的な知識や力が必要になります。
未利用資源の利活用には、地域の政治の力、産業の力、教育の力を結集しなければなりません。持続可能な形で未利用資源を利活用するには、農水産資源管理とサプライチェーンのグリーン化が重要です。食材の輸入先での環境負荷への配慮も必要になります。
そして消費者もそのつながりやコストを、理解する必要があります。供給されている食材の向こう側にどのような環境保全型のアクションがあるのか、自分たちが食材を消費するということはどのような環境保全行動に繋がっているのかについて理解する必要があるのです。
美食学(ガストロノミー)においては、食材の加工や調理方法を考え、味わう楽しみを追求するのみならず、料理を中心として芸術、歴史、科学、社会学などさまざまな文化的要素を考え、食との関係を考察しています。
「美食地政学」においては、美食学の概念をさらに発展させ、食の起点となる自然生態系の知識・理解を深め、生態系の管理・保全技術を構築し、食に係る産業サプライチェーンのグリーン化ならびに、環境に配慮した消費者活動を実現することを目指します。そのために地域の政治の力、産業の力、教育の力など、食に関わる多様な知と力を集結し、持続可能な食と、それを支える経済・社会を実現するための概念です。
本プロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構
「共創の場形成支援支援プログラム」(COI-NEXT)の
令和3年度採択プロジェクトです。