研究開発課題

生物資源量の把握と
適正利用に向けた知の導出

豊かな海洋にかこまれた我が国では、古くから海産物を利用し、その恩恵を受けてきた。しかしながら、近年の著しい海水温の上昇や環境変化などの影響により、水産資源量の低下や漁獲種組成の変化が起こっている。それらの問題を解決するためには、生物資源量の把握と生物多様性モニタリングが不可欠である。本課題では、魚類に代表される水産資源の生活史特性や資源量評価を環境DNA手法、耳石分析、安定同位体分析などを駆使して行う。それに加えて、地元の漁業者や加工業者と調査研究において密接に連携することで、地域に根ざした持続可能な漁業の実現と未利用資源の有効活用をめざす。

研究開発課題リーダー 

村上 弘章

Hiroaki MURAKAMI

研究開発課題リーダー
東北大学大学院農学研究科 助教

2019年 京都大学大学院 農学研究科 博士後期課程修了・博士 (農学)、同年 京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所・博士研究員、2020年 京都大学 学際融合教育研究推進センター 森里海連環学教育研究ユニット RE:CONNECT・特定研究員を経て現在に至る。環境中に放出された生物由来のDNAである『環境DNA』を検出することで、河川や沿岸域における魚類の生態や分布推定を行っています。本プロジェクトでは、宮城県と三重県をフィールドとして、環境DNAを用いた魚類多様性評価と資源量推定を試みることで、当海域の生態保全と持続可能な漁業の実現に貢献したいと考えています。

メンバー

Profile▶︎

片山 知史

Satoshi KATAYAMA

  • 東北大学大学院農学研究科 教授

東北大学農学部助手、中央水産研究所浅海増殖部を経て、2011年4月より現職。博士(農学)。沿岸資源について資源が変動するメカニズムの解明と資源管理理論の構築に取り組んでいます。特に耳石を用いた年齢査定、移動回遊パターン、成熟産卵様式を行い、各魚種の資源生態を明らかにしています。本課題では、三重県の定置網漁業の漁獲統計を用いて、魚種毎に変動パターンを解析しています。多様な沿岸資源の中でも特に増加傾向にある魚種や低利用魚をピックアップして、それらの有効利用を提案します。近年の発行著書は以下のとおりです。「地球温暖化とさかな」(分担執筆)、「魚と放射能汚染」(単著)、「漁業科学とレジームシフト」(編著)、「耳石が語る魚の生い立ち 雄弁な小骨の生態学」(単著)、「沿岸資源調査法」(分担執筆)、「東日本大震災から10年 海洋生態系・漁業・漁村」(編著)

Profile▶︎

恩田 都和

Towa ONDA

  • 東北大学大学院農学研究科 修士2年

海城高校、東北大学農学部卒業。専門分野は水産で、主に魚類と環境の関わりについて学んでいます。特に本課題では、気候変動に対応した持続可能な漁業の実現に貢献することを目的に研究を進めています。具体的には、定期的に実施している環境DNA分析と海洋観測データを組み合わせることで、魚類多様性に影響を与える環境要因の解明を試みており、その知見を資源管理や保全施策へとつなげていくことを目指しています。

Profile▶︎

叶 一希

Kazuki KANOH

  • 東北大学大学院農学研究科 修士1年

宮城県仙台第三高校出身。東北大学農学部卒業。水産資源生態学を専攻しており、学部4年次には高級魚ホシガレイの安定的な漁獲を目指した種苗放流の最適化について、主にDNA分析を用いた研究を行っていました。最近は、海洋生態系の捕食-被食関係について興味を持っており、沿岸部における環境変動が関係に与える影響を評価し、日本の漁業へ還元したいと考えています。

研究サポートスタッフ 

Profile▶︎

三浦 彩子

Ayako MIURA

技術補佐員

8つの研究開発課題

研究開発課題1

研究開発課題2

研究開発課題3

研究開発課題4

研究開発課題5

研究開発課題6

研究開発課題7

研究開発課題8