東北大学にて美食地政学講座「おいしい未来のつくりかた」2皿目を開催しました
2025年11月25日(火)、東北大学青葉山キャンパス 環境科学研究科 本館1階のSHOKU Labにて、美食地政学講座「おいしい未来のつくりかた 2皿目」を開催しました。当日は、飲食事業者、食品加工事業者研究者、農業生産者、学生、行政など多様な立場から33名が参加し、地域資源と食の未来について意見を交わしました。

基調講演では、JIEN LLP共同代表でイタリア在住の齋藤由佳子氏より、「土からはじまる美食と地域づくり―イタリアの実践から―」というテーマにて、北イタリアを中心としたガストロノミーツーリズムの実践や、生物多様性・未利用資源(NUS)をめぐる地域の取り組みについてご紹介いただきました。白トリュフやワインに象徴される地域固有の資源の活用、協同組合を通じた地域還元の仕組み、アグリツーリズモの制度など、イタリアでの実践が共有され、参加者から高い関心が寄せられました。
また、協同組合やアグリツーリズモを含む地域循環の仕組みがどのように形成されているか、その背景にある考え方にも触れられ、地域の価値を再発見する視点が示されました。

続くセッション「素材と対話のテーブル」では、仙台市泉区でイタリアンレストラン、PORTTAVOLAを営む瀬戸正彦 氏より、日々の仕入れや生産者との関わり、自然の変化と向き合いながら食材と向き合う姿勢についてご紹介いただきました。七ヶ浜や南三陸での魚介の調達、生産者の野菜や果物との出会い、季節ごとの山菜やきのこの話など、現場で得られる多様な知見が語られました。
食材の背景にある生産者の姿を大切にしたいというシェフの思いは、参加者にとっても印象深く、地域の食の価値を考える視点として共有されました。
試食会では、瀬戸氏による 「網どり鴨とおだしまポークの田舎風パテ」 を中心とした一皿が提供されました。
使われた食材はすべて宮城県内の生産者から届けられたもので、瀬戸氏からはそれぞれの背景が丁寧に紹介されました。亘理町・結城果樹園のりんご(あいかの香り)のコンポート、色麻町・ともちゃんの野菜畑による京くれない人参のキャロットラペと日野菜蕪のピクルス、松山町・佐々木林業のプレコーチェ、カステルフランコ、プンタレッラ、サラダケール、加美町・オダシマファームのおだしまポーク、涌谷町の鴨漁師・菊池さんによる網どり真鴨と尾長鴨、石巻市・山田さんの「伊達の旨塩」、雄勝ローズガーデン・徳永さんのエキストラヴァージンオリーブオイルなど、多彩な食材が一皿を彩りました。さらに、株式会社宮城リスタ大川の遠藤様よりご提供いただいた石巻産のオリーブも添えられ、会場に華やぎを添える一品となりました。
丁寧な説明とともに味わう試食は、地域資源と食文化のつながりを感じるひとときとなりました。

料理を囲みながらの意見交換では、生産者と消費者の距離の縮め方や、地域に価値を還元する仕組みづくり、食と観光の可能性など、実践に基づいた活発な対話が交わされました。

今回の講座を通して、地域資源の新たな価値を見出すためには、現場の声や生産者の暮らしが中心に据えられることの重要性があらためて確認されました。
環境配慮やサステナブルな取り組みは、地域の一次産業が持続可能であることを前提として初めて成り立ちます。
今後も、美食を軸に地域と食の関係性を探り、持続可能な未来へとつなぐ場として、本プロジェクトの活動を広げていきます。


